相続税の申告漏れ課税価格3,295億円

 国税庁の平成28事務年度(28年7月〜29年6月)における相続税等の調査事績によると、平成26年に発生した相続を中心に今年6月までの1年間で実施された相続税の実地調査件数は1万2,116件で、このうちの82%にあたる9,930件から申告漏れ等の非違が把握され、その申告漏れ課税価格は3,295億円と前事務年度に比べて291億円増えています。また、申告漏れ件数のうち1,300件が、故意に過小申告をしていたり無申告だったため重加算税が賦課されています。
 申告漏れ相続財産の金額の内訳では、 最も多いのが「現金・預貯金等」の1,070億円で、 以下、「有価証券」535億円、「土地」383億円、「家屋」56億円、生命保険金など「その他」1,189 億円と続き、有価証券が土地を抜いて2番目に多くなっています。
 一方、国税当局が重点課題として取り組んでいる海外資産関連事案については、同事務年度917件を実地調査して申告漏れ件数1件当たり4,483万円の申告漏れ課税価格が把握されました。相続税調査全体の1件当たりの申告漏れ課税価格が2,720万円だったことからも、海外資産は容易に把握されないと考えている者も依然として多いようです。