納税特例猶予の適用等で租税滞納の新規発生額が大幅減
 国税庁がまとめた「令和元年度 租税滞納状況」によりますと、新型コロナウイルス感染症の影響により国税の納付が困難な納税者に対して柔軟に適用している「納税の猶予の特例(特例猶予)」等により滞納発生が翌年度に後ろ倒しとされていることから、令和元年度における新規発生滞納額は前年より1割も減少していることがわかりました。
 国税が納期限までに納付されず、国税当局から督促状が発付されたものを「滞納」といういますが、令和元年度において新たに発生した滞納額は5,528億円で、前年度より10.0%、金額では615億円も減少しました。国税当局による期限内納付に関する広報や多様な納付手段の利用勧奨、納付指導の実施による未然防止策の取組みによる効果もありますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた多くの納税者が「申告所得税等の申告・納付期限の延長」や「納税の猶予の特例」を適用しているため、新規滞納発生が後ろ倒しとなっていることも大きな要因となっており、過去最も多かった平成4年度の1兆8,903億円と比べて3分の1程度にとどまっています。
 この滞納額は、「集中電話催告センター室(納税コールセンター)」や国税局・税務署の徴収担当部署において滞納整理を実施した結果、令和元年度の滞納整理済額は6,091億円となり、規発生滞納額5,528億円よりも564億円上回っています。これにより、同年度末における滞納整理中のものの額(滞納残高)は7,554億円で21年連続で減少しています。