令和2年度査察事績〜告発率は73.5%

 国税庁の令和2年度査察事績によると、新型コロナ感染症に伴い同年度の査察着手件数は111件と前年度に比べ39件も大きく減少しています。
 一方、申告漏れの手口が悪質だったものや、申告漏れ額が高額だったことなどから検察庁へ告発した件数は、前年度からの係属事案を含め83件でした。検察庁への告発の可否を最終的に判断した処理件数が113件だったとから、告発率は73.5%となっています。
処理事案の脱税総額(加算税を含む)は90億5,000万円(うち告発分69億2,600万円)で前年度よりも減少していますが、1件当たりの脱税額では8,000万円(うち告発分は8,300万円)となり、前年度よりも増えています。
 告発件数の多かった業種(同一納税者が複数税目で告発されているものは1者とカウント)をみると、「不動産業」が26件と最多で、以下、「建設業」15件、「クラブ・バー」4 件の順でした。また、告発した事案の税目別では、最も多いのが法人税事案の55件・脱税総額38億2,600万円で、全体の半数超を占めています。また、消費税事案が18件ありましたが、このうちの9件が輸出免税制度などを悪用した消費税不正受還付事案(ほ脱犯との併合事案含む)でした。
 同年度に告発した査察事件で一審判決が行われたのは87件。このうち86件が有罪となり6人に実刑判決が言い渡されています。なお、この中には、暗号資産取引により得た利益を申告から除外して告発された全国初の暗号資産事案も含まれています。