コロナの影響で滞納残高が22年振りに増加

 国税庁がこのほど公表した「令和2年度租税滞納状況」によると、同年度において新たに発生した滞納額は5,916 億円で、前年度より7%増加しています。これは、新型コロナウイルス感染症の影響で納税が難しい納税者のために設けられた「特例猶予制度」が多く適用され、元年度分の滞納の新規発生が2年度にずれ込んだことなどが影響しています。
 新規発生滞納額を税目別にみると、最も多いのが消費税(地方消費税除く)の3,456 億円で全体の半分以上を占め、以下、所得税1,366 億円(源泉所得税含む)、法人税805 億円、相続税236 億円の順で、相続税を除いて前年度よりも増加しています。また、徴収決定済額(申告などにより課税されたものの額)に占める新規発生滞納額の割合(滞納発生割合)は前年度同様に0.9%となりました。
 一方、滞納整理済額は、納税が困難な者に対する特例猶予制度の適用を最優先に取り組み滞納整理の実施を抑えたことから、5,184 億円と前年度に比べて14.9%も減少となっています。
 この結果、今年3月末の滞納残高は8,286億円と前年度に比べて9.7%増えて、平成10年以来22年振りに増加に転じています。税目別にみると、所得税が3,342億円で最も多く、以下、消費税3,245億円、法人税1,081億円、相続税561億円などですが、このうち消費税は21.6%も前年度より増加しています。