法人税調査で不正1件あたりの不正所得金額が過去最高

 国税庁の令和2事務年度法人税等調査事績によると、前年に続き新型コロナウイルス感染症により実地調査件数が過去最低を更新しましたが、不正1件当たりの不正所得金額は過去最高だったことがわかりました。
 令和2年7月から1年間に実施した法人税の調査件数は、コロナ禍における抑制的な実施となったことから、実地調査は万5千件(対前年比67.3%)で過去最低件数を記録しています。
 調査の結果、申告に何らかの非違があった法人は2万件(同65.0%減)で、その申告漏れ所得金額は5,286億円(同32.3%減)となり、加算税等含め1,207億円(同26.6%減)を追徴しています。また、故意に申告から所得を除外するなどの不正件数は調査した26.5%にあたる7千件(同59.9%減)にのぼり、その不正所得金額は1,460億円(同43.7%減)でした。また、調査1件当たりの申告漏れ所得金額は2,116万円(同106.9%増)、不正1件当たりの不正所得金額は2,208万円(同40.4%増)と、それぞれ前年より増えて統計データがある昭和55事務年度以降で過去最高額となり、調査1件当たりの追徴税額は483万円(同124.3%増)に達しました。
 不正計算を行っていた法人を業種別にみると、不正発見割合は「バー・クラブ」が53.7%と最も高く19年連続のワースト1で、以下、「外国料理」52.0%、「美容」37.5%、「医療保健」36.7%、「生鮮魚介そう卸売」36.2%で、1件当たりの不正所得金額では、「自動車・同付属品製造」が4,323万円でワースト1となり、以下、「その他の不動産」4,309万円、「貿易」4,187万円、「建売、土地売買」4,069万円、「情報サービス、興信所」4,048万円となっています。