賃上げ税制の見直しなどを盛り込んだ令和4年度税制改正大綱決まる

 去る12月10日、自民、公明両党は令和4年度税制改正大綱を決定しました。

 大綱をみると、昨年に続いて改正となった賃上げに積極的な企業を支援する「賃上げ税制」では、一定の要件の下で企業が増やした従業員の給与支給総額のうち、法人税額から差し引ける割合を最大で大企業は30%(現行20%)、中小企業は40%(同25%)に引き上げます。ただし、一定規模以上の企業に対しては、従業員をはじめ関係方面に配慮した経営への取組みの宣言や、一定水準の賃上げを行わない場合は優遇税制措置(研究開発税制など)を認めないことが盛り込まれている。

 住宅関係では、令和4年末で適用期限を迎える住宅ローン減税について、控除率、控除期間等を見直すとともに、環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置等を講じた上で適用期限が4年間延長されます。
 土地に係る固定資産税については、コロナ前の地価の上昇に伴う負担の急増と新型コロナウイルスの影響等による経済社会情勢の悪化とその後の回復状況を踏まえ、現行の負担調整措置の原則は維持しつつ、令和4年度は商業地等における課税標準額の増加を評価額の5%から2.5%に抑制する措置が講じられます。

 その他では、中小企業の経済活動支援や中小企業の負担軽減、デジタル化等による事業効率・事務処理能力の向上を図るため、「中小企業の交際費を800万円まで全額損金算入できる特例措置」及び「中小企業による30万円未満の少額の減価償却資産を即時償却できる特例措置」をそれぞれ延長することが盛り込まれています。

 なお、来年1月1日からの改正電子帳簿保存法の施行に伴う電子受領データの電子保存の義務化については、令和5年12月末までの電子取引に関して「やむを得ない事情」があり所轄税務署長が認めた場合は、電子保存ではなくてもその保存を認めることが明記されています。