6年度税制改正に伴う税収の増減は平年度ベース約4兆円の減収

 昨年12月22日に政府が閣議決定した令和6年度の税制改正大綱によると、改正に伴う税収の増減収見込額(平年度ベース)は、国税が2兆9,010億円の減収、地方税が9,733億円の減収となり、合計3兆8,743億円と4兆円近い減収となることがわかりました。

 閣議決定された税制改正大綱の内容は、同月14日に公表された与党税制改正大綱を踏まえたものとなっています。

 増減収の内訳をみると、減収関係では最も影響が大きい物価上昇を十分に超える持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から実施される「定額減税」が国税・地方税を合わせて3兆2,840億円。子育て世帯等に対する「住宅ローン控除の拡充」(今年の居住分について、改正後と改正前の制度を適用した場合の減収見込額との差額)が290億円、中小企業向けの最大税額控除率の引上げ等による「賃上げ促進税制の強化」で3,460億円、交際費等から除かれる1人当たりの飲食費等を拡充する「交際費等の損金不算入制度の見直し」が170億円とされています。

 また、今回の改正で新たに盛り込まれた制度である資本蓄積の推進や生産性の向上により供給力を強化するための「戦略分野国内生産促進税制」及び「イノベーションボックス税制」により、それぞれ2,190 億円と230億円の減収が見込まれています。
一方、増収となるのは「研究開発税制の見直し」の230億円くらいで、減税色がかなり強い改正となっていることがわかります。

 政府は、今月26日からの通常国会にこれらを盛り込んだ税制改正法案を提出し、年度内の成立を目指します。