国外財産調書の提出件数・財産額が9年連続で増加

 国税庁がこのほど公表した令和4年分国外財産調書の提出状況によると、同年分にかかる国外財産調書の総提出件数は1万2,494件で、その総財産額は5兆7,222億円にのぼり、制度開始以降9年連続で増加し過去最高となったことがわかりました。

 国外財産調書制度は、平成26年1月から施行された制度で、その年の12月31日において保有する国外財産の合計額が5千万円を超える居住者は、その財産の種類・数量・価額など必要事項を記載した国外財産調書を翌年の3月15日までに税務署長に提出しなければなりません(令和4年度税制改正により令和5年分以降の提出期限は6月30日とされています)。

 また、納税者が自主的に提出するという点で他の法定調書と異なることから、加算税の軽減措置など適正提出を確保するためのインセンティブ措置が設けられています。同年分では、この軽減措置が146件適用され増差所得等金額は40億6,433万円となっています。その一方で、調書の提出がない又は提出調書に記載のない国外財産にかかる申告漏れが生じた場合には加算税の加重措置があり、同年分は329件に適用され増差所得等金額は119億1,183万円と多額にのぼります。

 国税局別の提出状況をみると、東京局が7,900件と全体の6割強を占め、大阪局1,867件、名古屋局861件の順。また財産額でも、東京局が4兆3,549億円と全体7割強を占め、大阪局6,996億円、名古屋局2,234億円の順となっています。

 財産の種類別総額をみると、最も多いのが「有価証券」の3兆4,569億円で、以下、「預貯金」7,775億円、「建物」4,842億円、「貸付金」1,754億円、「土地」1,568億円となっています。