能登半島地震の被災者への税制支援特例法が成立

 能登半島地震被災者への税制支援に向けた特例法案である国税関係の「令和6年能登半島地震災害の被災者に係る所得税法及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の臨時特例に関する法律案」と地方税関係の「地方税法の一部を改正する法律案」が2月21日、参議院本会議で採決され全会一致で可決・成立しました。両法案は、国会に上程された2月16日から6日間でのスピード成立となっています(同日施行)。

  同法は、能登半島地震により広範囲において生活の基礎となるような家財や生計の手段に甚大な被害が生じており、かつ、発災日が1月1日と令和5年分所得税の課税期間に極めて近接していること等の事情を総合的に勘案し、臨時・異例の対応として行われたもので、東日本大震災等の災害時にも特例措置が設けられています。

 法律の概要としては、国税では、今般の災害により、住宅や家財等の資産について損失が生じたときは本来、令和6年分所得での対応となるところを前倒しして、令和5年分所得においてその損失の「雑損控除」の適用を可能とします。また、住宅や家財について甚大な被害を受けた場合は、令和5年分の所得税について「災害減免法による軽減免除」(災害減免法)の適用を可能とする特例が設けられています。なお、雑損控除と災害減免法は選択適用となります。

 さらに、事業用資産等について損失が生じた場合は、その損失の金額について、令和5年分の事業所得等の金額の計算上、必要経費への算入を可能とすることが盛り込まれています。

 一方、地方税では、国税同様に住宅や家財等の資産について損失が生じた場合、1年前倒しして令和6年度分の個人住民税(令和5年分所得)において、その損失の金額を雑損控除の適用対象とすることができる特例措置が内容となっています。なお、被災事業用資産等の損失の必要経費算入の特例については国税の自動連動となることから、地方税でも対応が行われることになります。