労働者の54.2%が仕事や職業生活でストレス

 厚生労働省はこのほど、「令和3年版過労死等防止対策白書」を公表しました。
 これによると、労働者1人当たりの年間総実労働時間は緩やかに減少傾向を辿り、令和2年も1,621時間で前年の1,669時間から48時間減少して8年連続の減少となっています。総実労働時間を所定内労働時間と所定外労働時間の別にみると、長期的に減少傾向となっている所定内労働時間に対して、所定外労働時間は平成22年以降、120〜132時間の範囲で増減を繰り返していましたが、令和2年は110時間と前年に比べて17時間の減少となりました。
 メンタルヘルス対策等の状況では、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、54.2%と依然として半数を超えています。その内容をみると、「仕事の量・質」(56.7%)が最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」(35.0%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」(27.0%)となっています。
 一方、仕事や職業生活でのストレスについて「相談できる人がいる」労働者の割合は 90.8%となっており、その相談相手は「家族・友人」(78.5%)が最も多く、次いで「上司・同僚」(73.8%)となっています。
 ストレスを感じている労働者が多い中、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割では令和2年は全体で61.4%となっていますが、事業所の規模別にみると50人以上の事業所は概ね90%を超える高い割合となっていますが、10人〜29人の事業所では53.5%と半数超にとどまっています。具体的なメンタルヘルスケアの取組内容では、「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」の62.7%が最も多く、「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック後の集団(部、課など)ごとの分析を含む)」(55.5%)、「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」(53.8%)が続いています。
 過労死等に係る労災補償の状況をみると、業務における過重な負荷により脳血管疾患又は虚血性心疾患等を発症したとする労災請求件数は、令和2年度は784件と前年度比152 件の減少、業務における強い心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求件数は、2,051件で前年度比9件の減少でした。