長時間労働の疑いで監督指導に行った約3分1事業場で「違法な時間外労働」

 厚生労働省はこのほど、「長時間労働が疑われる事業場に対する令和3年度の監督指導結果」を取りまとめ公表しました。
 対象となった事業場は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場で、同年度は3万2,025事業場。このうち、何らかの労働基準関係法令違反があった事業場数は2万3,686事業場におよび、監督指導を実施した74%と約3分の2で違反があったことを把握。是正・改善に向けた指導が行われました。
 主な違反内容を見ると、「違法な時間外労働があったもの」が1万986事業場で最も多く、「過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの」が6,020事業場、「賃金不払残業」が2,652事業場となっています。前年度と比較すると、賃金不払残業の割合が高くなっているのが特徴です。
 また、違法な時間外労働があった1万986事業場において、時間外・休日労働が最長の者を確認したところ4,158事業場で1か月80時間を、うち2,643事業場で1か月100時間を、うち562事業場で1か月150時間を、うち121事業場で1か月200時間を超えていたことが把握されています。
 監督指導事例をみると、長時間労働を原因とする精神障害の労災請求があった医薬品製造業のA事業場のケースでは、精神障害を発症した労働者について、36協定で定めた上限時間(月45時間)を超え、かつ労働基準法に定められた時間外・休日労働の上限時間(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える違法な時間外・休日労働(最長:月177時間)が認められたことから、指導が実施されています。また、一部の労働者について、時間外労働を把握していながら、残業申請が?われていないことを理由に割増賃金を支払っていなかったことから、あわせて指導が行われています。