法人税等の実地調査で1件当たり不正所得が過去最高に

 国税庁が先ごろ公表した令和3事務年度法人税等の調査事績によると、あらゆる資料情報と提出された申告書等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人4万1千件へ実地調査を行い、3万1千件から申告漏れ所得金額6,028億円を把握して2,307億円を追徴しています。

 新型コロナウイルスの影響を受けつつも調査件数、申告漏れ所得金額及び追徴税額全てで前事務年度を上回っていますが、調査1件当たりの追徴税額は5,701千円と3割近く減少しました。

 一方で、申告内容に誤り等が想定される納税者等に対して税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、自発的な申告内容の見直しなどを要請する「簡易な接触」を6万7千件実施しており、その申告漏れ所得金額は88億円で追徴税額は104億円と100億円を超えました。

 実地調査での申告漏れ法人のうち、不正件数は9千件(対前事務年度比40.1%増)で、その不正所得金額は2,208億円(同51.2%増)に達し、前事務年度と比べ大幅に増えました。その結果、1件当たりの不正所得金額は2,383万円(同7.9%増)となり、統計データがある昭和55事務年度以降で過去最高額となりました。

 なお、不正計算を行っていた法人を業種別にみると、不正発見割合では、原動機付自転車等によって貨物の運送を行う「その他の道路貨物運送」が32.8%と最も高く、以下、「医療保健」31.2%、「職別土木建築工事」29.6%の順、1件当たりの不正所得金額では「情報サービス、興信所」が7,288万円で最も大きく、「自動車・同部品卸売」6,472万円、「鉄鋼製造」6,369万円となっています。