公取委がインボイス制度で独禁法違反注意事例を公表

 公正取引委員会は、インボイス制度に関連して免税事業者とその取引先との間で独占禁止法(優越的地位の乱用)上問題となり得る行為を確認したことから、事例を公表して注意喚起を行っています。

 公表事例をみると、発注事業者である課税事業者が、免税事業者からの課税仕入れについては、インボイス制度の実施後3年間は仕入税額相当額の8割(その後の3年間は同5割)の控除ができる経過措置が税制改正で設けられましたが、取引先の免税事業者に対して、インボイス制度実施後も課税事業者に転換せず免税事業者を選択する場合は、消費税相当額を取引価格から引き下げることを文書で伝えるなど、一方的に通告していた事例が散見されました。

 このため公取委は、これら発注事業者に対して、「独占禁止法上問題となるおそれがある」として未然防止の観点から注意喚起を行いました。

 なお、注意を受けた事業者の業態等は、イラスト制作業者(取引の相手方、イラストレーター)や農産物加工品製造販売業者(同、農家)、ハンドメイドショップ運営事業者(同、ハンドメイド作家)、人材派遣業者(同、翻訳者・通訳者)、電子漫画配信取次サービス業者(同、漫画作家)など多岐に渡ります。

 公取委では引き続き、インボイス制度における課税事業者の免税事業者やその取引先への対応について考え方を明らかにして各法の周知を図るとともに、制度施行後は厳正に対処していく方針です。