5年分路線価はコロナ禍からの回復で全国平均2年連続上昇に

 国税庁が公表した相続、遺贈又は贈与により土地等を取得した場合の相続税及び贈与税の税額算定の基礎となる令和5年分路線価及び評価倍率(路線価図等)によると、今年1 月1日時点の全国約31万6千地点を対象とした標準宅地に係る評価基準額の全国平均は、1.5%の上昇と前年の0.5%上昇に続いて2年連続の上昇となりました。

 国税庁によると、令和4年分からコロナの影響が徐々に緩和され路線価は回復傾向にありましたが、この傾向がより顕著に表れたものと判断しています。

 都道府県別では、下落に転じた都道府県はなく下落幅が拡大したのは福井県の1県のみで、下落から横ばいとなったのは長野・滋賀の2県。また、下落から上昇に転じたのは、岩手・秋田・山形・茨城・兵庫の5県となっていて、都道府県の半数以上が変動率の平均値が上昇しています。特に北海道は上昇率が6.8%となり、令和2年分の東京都及び沖縄県以来の5%以上の上昇を記録しました。

 都道府県庁所在都市における最高路線価の対前年変動率でも、前年よりも上昇した都市は昨年の15都市から29都市に増加。上昇率が5%以上の都市は昨年の1都市から5都市へとなりました。上昇率が最も高かったのは、商業集積地である杜の街等再開発の具現化が進んでいる岡山市「北区本町市役所筋」の9.3%。一方、下落した都市は昨年の16都市から4都市とそれぞれ減少。下落率が最も高かったのは鳥取市「栄町 若桜街道通り」の3.0%となっています。

 1平米当たりの最高路線価は、東京・銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前の銀座中央通りの4,272万円で、昭和61年分以降38年連続全国1位となりました。ちなみに、1万円札1枚当たりの広さで約52万円、A4サイズ用紙1枚当たりで約266万円になります。

 路線価図等は、国税庁ホームページで7年間分(現在は令和5年分から平成29年分)を掲載しています。