滞納残高は8,949億円と3年連続の増加に

 国税庁の令和4年度租税滞納状況によると、今年3月までの1年間における新規発生滞納額は7,196億円(前年度比4.4%減)となり、3年ぶりに前年を下回りました。

 税目別にみると、消費税(地方消費税を除きます)の3,630億円が最も多く、申告所得税1,756億円、法人税956億円、源泉所得税397億円、相続税367億円となっています。

 一方、滞納整理済額は、国税職員の行動制限が緩和されたこともあり、新型コロナ前の滞納整理の状況となったことから7,104億円(同2.1%増)と前年度よりも増加しています。国税当局では、滞納整理の手法の一つとして、処理進展が図られない事案について詐害行為取消訴訟等を提起するなどの訴訟を積極的に活用して処理の促進を図っており、同年度においても差押債権取立訴訟が9件、供託金取立等訴訟が3件、名義変更詐害行為が2件、債権届出等訴訟などその他が123件の計137件の訴訟を提訴。前年度からの継続案件を含め132件が終結して、国側が全部勝訴しています。

 この結果、新規滞納額が滞納整理済額を上回っているため、今年3月末の滞納残高(滞納整理中のものの額)は8,949億円(同1%増)となり3年連続して増加となりましたが、滞納残高のピークだった平成10年度(2兆8,149億円)の約3割となっています。