法人版事業承継税制 承継時の株価固定で事業拡大にメリット
 法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、中小企業経営承継円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合に、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者が死亡等した場合には猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。
 特例措置の適用にあたっては、「特例承継計画」を策定・確認申請を行い、令和9年12月末までに事業承継を実施しなければなりません。特例承継計画の申請はコロナ禍で減少しましたが、令和5年度は5,357件と再び増加に転じています。そのような中、令和6年度税制改正では、この特例承継計画の提出期限が令和8年3月末まで2年延長されています。
 この特例承継計画を提出することで、自社株の贈与税・相続税の承継時の納税が全額猶予され、一定要件を満たせば猶予税額が免除されるほか、承継時に税額猶予の対象となる株式価額が固定され、その後の株式価値の上昇は猶予税額に反映されないことが特例措置の大きなメリットです。
 例えば、先代から後継者へ事業承継(株式贈与)した時点の株価が1億円で、承継後に株価が5億円に上昇し先代に相続が発生した場合ですと、猶予税額の計算の基礎となる評価額は贈与時の1億円で固定されるため4億円の固定効果が得られます。そして、企業の成長により猶予の終了等となる場合に、M&A等により上昇後の株価で売却すれば納税負担が大きく緩和され、利益拡大により増額された役員報酬で納税資金を確保することも容易となります。